Toyota 問題のデジャブ(既視感)

日米のトヨタ問題は、ますます混迷の度合いを深めているように見えます。米ABCテレビがトヨタ車の急加速原因が電子制御装置の欠陥であることを立証したとするギルバート南イリノイ大学教授の実験報道について、映像を「誤って演出」したものであることを認めたり(日本では普通これを「捏造」と呼ぶ)、映画さながらパトカーとのカーチェイスを演じたプリウス所有の男性に狂言疑惑がもちあがったり・・。さらに、専門家によると電子制御装置に欠陥があるかどうかの証明はほぼ不可能といわれているようで、本当にどうなるんでしょうか?

アメリカにいると、本当に日本車を多く見かけます。私にとって、トヨタ、日産、ホンダなどの祖国ブランドが外国で活躍しているのは素直にうれしいことです。トヨタが危機的状況を乗り切ってくれることを祈らずにはいられません。ただ、過度の演出をしがちなマスコミや金目当ての輩はともかく、今回の騒動はすべてアメリカ自動車産業や族議員の政治的策謀なのでしょうか?そうとは言い切れない部分があると思います。

私が気になるのは、先日の公聴会である議員が問題にしていたトヨタの社内文書です。それは新任社長へのブリーフィングの中で、交渉により安価にリコールを回避できたことを報告する内容でした。この議員は、自動車会社にとってリコールは大きな損失となることから、本来リコール案件として当局に届け出るべき情報をトヨタは故意に隠していたのではないか、と疑っているようでした。なすべきリコールを怠った結果、例のレクサス親子4名死亡事故が防げなかったのではないかと。

どこかで聞いたことのある話だなと思っていたところ、3月9日、日本の最高裁が三菱自動車(現在の三菱ふそう)の元役員数名がリコール逃れのため欠陥を隠したとされる道路運送車両法違反事件について、上告を棄却したという報道が流れました。罰金20万円の有罪判決が確定したそうです。2002年に横浜で、三菱自動車のトラックのタイヤが外れて、近くを歩いていた母子3名を直撃、母親が死亡、子どもが軽傷を負ったという事件です。関連して複数の裁判が起きていますが、別の業務上過失致死事件の判決では、「事故原因を断定できなくても、その疑いがあった時点でリコールしていれば事故も防止できた」として、被告の過失が認定されています。

当時、三菱自動車(現在の三菱ふそう)側は、脱輪事故はよくあることで、トラックの異常は運転者の整備不良だと主張していたのですが、後日、役員側が社内データを隠蔽したり虚偽報告を繰り返していたことが明らかになりました。

日本を代表する企業であるトヨタが故意に情報を隠していたとは想像したくありませんし、そんなことはないと信じています。ですが、アメリカ側の主張と過去の三菱自動車事件の経緯があまりにも符合していることが、どうも気持ち悪いのです。

(2010年3月13日 初出)