講義アンケート

最近は、大学でも授業アンケートというのをとります。授業は大学の商品ですから、品質向上のためにユーザー(学生)の皆さんの意見を求めるわけです。

授業アンケートに対する対応は先生により異なり、勤務評定に直結することもありませんが、若手の先生などは学生さんからシビアな意見を聞かされると結構落ち込んだりしますから、ある程度の意味はあります。

私の場合には何を書かれても平気ですが、講義で実験的試みをいくつかしているのでそれに対する学生さんの反応は気になるところです。幸いにも、本日実施したアンケート結果によれば、おおむね受け入れられているようです。

私の講義の特徴と考えられるものをあげると以下の通りです。

・レジュメをあらかじめHPに掲示し、予習を前提にしている
・講義は設問形式で行い、基本事項の説明は省略することが多い
・講義終了後、質問のための時間を多めにとる
・パワーポイントを使って、多くの情報をわかりやすく伝える
・現実的、実務的な話題もできるだけ取り上げる

欧米のロースクールに留学させてもらい、多くの教授の講義を受けた経験から、このような講義形式をとることにしています。本来なら、ソクラテス・メソッドでやりたいところですが、それを日本の学部講義でやると誰も授業に来なくなるので、そこは妥協しています。講義内容には有料の学外セミナーでやるのと同程度、あるいはそれ以上のクオリティを持たせているつもりです。

今回のアンケートで気になったのが、次のような意見でした。
「質問のための時間をとるより、設問の解答を教えて欲しい」
「試験前には全体のまとめ的なプリントを配って欲しい」

これは、受験予備校的に要領よくまとめられた解答を丸暗記することで期末試験を乗り越えようとするシューカツ等で忙しい学生さんの切実な要望と受け止めています。

しかし初回に説明したとおり、私の講義では、設問を素材にして、判例や学説、さらには私自身の見解などいろいろな考え方を紹介し、学生さんが自分の頭で考える材料にして欲しいと願っているわけです。講義ではいろいろな角度から問題にアプローチする方法を示しているつもりなので、まとめや解答的なことを述べるつもりはありません。たまに言ったとしても、それは一教授の意見にすぎないのであって、模範解答ではありません。

ですから、残念ながら、上のような学生さんの希望がかなえられることは今後もないでしょう。「学問に王道なし」です。自分の考えは自分でまとめて、試験に臨んで頂くしかありません。

(2011年6月30日初出)