バークレーでの住居探し
大学教員は海外赴任したとき、一般企業の駐在員の方とは違って、ほとんどの場合に自分で住居を探さなければなりません。現地の不動産仲介業者を利用すればいいと思われるかも知れませんが、地域によっては売買だけで賃貸は扱ってない業者とか、仲介料が高額だったりして使いにくいのが実情です。
しかも、今回私が滞在するベイエリアは全米No.1といわれる住居費の高い場所です。原因は諸説あるのですが、シリコンバレーで働いている人たちが相場を上げているという説明が一番もっともらしいです。現時点で、サンフランシスコ市内では狭いワンルームでも月4,000ドルが相場といわれています。対岸のバークレーでも夫婦二人で月3,000ドルは覚悟する必要があります。これだけ支払うのであれば、日本であれば高級マンションに住めるはずです。
カリフォルニア大学バークレーの場合には、少し離れた場所にユニバーシティ・ビレッジという海外研究者用の寮(といっても一戸建てが集合しているまさに「村」です)があるのですが、こちらは高額な授業料を払っている大学院生およびその家族が優先されるということで、客員研究員には手が届かないものでした。
結局、インターネットの賃貸物件サイト(Airbnb とは別)をみて個人オーナーと直接交渉するという方法しか残っていませんでした。しかし、いくつもメールを送ったのですが、良い物件はすぐに埋まってしまうのか、返事すら来ない状況が続きます。住居が見つかるまで宿泊しているホテルも当然に安くはないので、出費はかさみ気持ちばかりが焦ります。すっかり「住宅難民」になった私には、公園でテントを張って暮らしているホームレスの人たちの気持ちが理解できました。
まわりの客員研究員の話を聞いても、あきらめて高額の手数料を払って不動産仲介業者に頼んだり、一部屋だけの間借りをして住居費を節約するケースが目立ちました。
私の場合、ようやく、あるオーナーさんから返事をもらい、内見に行ったその場で即決しました。築100年を超えた古い木造アパートの1階で、目の前は交通量の多い道路、と条件はあまり良くなかったのですが、どうせ昼間は大学にいるし、徒歩で通える距離だったこと、夫婦二人で暮らすには丁度良い広さだったこと、家具付きで賃料も相場よりは安かったこと等から、決断しました。
オーナーさんはかつて映画俳優もしていたことのあるハンサムな男性で、数世代にわたってバークレーに住んでいる家族だといいます。偶然にも私と同じ年齢で、すぐに意気投合して、ベイエリアの情報などいろいろ教えてもらいました。絵を描くのが趣味だということで、部屋にはたくさんの絵画が飾られています。
ベイエリアの住居費の高騰はまだまだ続くようですから、サンフランシスコ周辺に赴任される方は覚悟して来て下さい。
